全炭化水素計 Series 9000
AMETEK MOCON 製の Series 9000 は検出器にFIDを採用した全炭化水素の分析計です。酸化触媒、または還元触媒を追加したものなど、いくつかのモデルがあります。
19インチラックマウントに設置できるように設計されています。
測定値の出力信号として、アナログ出力またはシリアル通信が利用できます。
FID方式の分析計では水素炎を得るために、燃料ガスとして水素、助燃ガスとして空気がユーティリティーとして必要です。ガスは不純物を含まない高純度のものが必要となります。それぞれのガスの装置への供給圧は、両者共に140kPaです(代表値)。
Series 9000 モデル一覧
・9000 THA
・9000 H-THA
・9000 MNME
・9000 TCA
・9100 TS
9000 THA は標準的な全炭化水素を測定するモデルです。FIDは65℃に温調されたオーブン内に収められており、環境温度の変化による測定への影響を抑えています。
9000 H-THA は大気放出末端の排出ガスなどのサンプルを想定し、サンプルの分析計内部での凝縮を防止する目的で165℃に温調されるオーブンが追加されたモデルです。サンプルラインは入口からFIDの出口までこのオーブン内に収められています。
9000 MNME は酸化触媒を用いてメタン、非メタン、全炭化水素の測定を行う設計となっています。二つの流路があり、定期的に流路を切り換えて測定を行います。手法としては次の通りです。
触媒の無い流路では全炭化水素が測定されます。また酸化触媒の流路では燃えにくいメタン以外の炭化水素を、FIDで応答しない二酸化炭素と水に酸化することで、メタンのみを測定することができます。両者の測定値の差が計算され、非メタンとして測定されます。
FIDのみ温調するモデルと、サンプルラインを120℃に温調するモデルの二種類があります。
9000 TCA は還元触媒を用いて一酸化炭素と二酸化炭素の合算値(仮にCO/CO2と表記します)、全炭化水素の測定を行う設計となっています。それぞれの測定値を加算した合計値も出力されます。二つの流路があり、定期的に流路を切り換えて測定を行います。手法としては次の通りです。
触媒の無い流路では全炭化水素が測定されます。また還元触媒の流路では、一酸化炭素と二酸化炭素をメタンと水に還元することでCO/CO2はメタンとして検出されるため測定が可能となります。サンプル中の一酸化炭素と二酸化炭素を還元のための水素は、FIDの燃料として供給されるものを利用します。
サンプルライン全部を加熱するモデルはなく、FIDのみ温調するモデルだけとなります。
9000TS
触媒をつかってH2Sガスにしてトータル硫黄ガスを測定します。
9000 THA仕様
測定方式 | FID (水素炎イオン化検出法) |
測定成分 | 全炭化水素 ※メタン、非メタン、CO/CO2測定可能な他のモデルあります |
測定レンジ | 200 ppmC FS 2,000 ppmC FS 20,000 ppmC FS 100 %C FS ※発注時指定 |
ゼロドリフト(24h) | FSの±0.025% |
スパンドリフト(24h) | FSの±1% |
サンプリング流量 | 2L/min ※代表値 |
燃料ガス | 100% H2 30mL/min、供給圧 140kPa ※代表値 |
助燃ガス | 精製空気 175mL/min、供給圧 140kPa ※代表値 |
出力信号 | 0-20または4-20mA RS232 リレー接点 5ch |
重量 | 約10kg |
電源 | 100~240VAC、50/60Hz |
寸法 | 48Wx41Dx13H(cm) ※19インチラックマウント型 |
供給ガス | 水素ガス:約35mL/分、エア:約175mL/分 |
プロセスガスクロマトグラフ Series 9100
AMETEK MOCON 製の Series 9100 は用途に合わせた設計がされるプロセスガスクロマトグラフです。検出器はTCD、FID、PID、からユーザー様の用途に合ったものが選択されます。成分を分離するためのカラムも同様で、パックドカラムやキャピラリーカラムなどから選択されます。
19インチラックマウントに設置できるように設計されています。
測定値の出力信号として、アナログ出力またはシリアル通信が利用できます。装置内部のメモリーに測定データを保存することが可能であり、お手持ちのUSBメモリーを用いて保存されたデータを取り出すことができます。
測定事例
・空気中のBTEX(ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン)の測定
・飲料用純CO2中の不純物(硫黄化合物)測定
・各種純ガス中の不純物測定(H2、He、Ne、炭化水素など)
この他にも色々な測定事例がありますので、測定したい成分がありましたら上記以外でもお気軽にご相談下さい。